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◆ 第18回 | 主なテーマ | 引き続き、1909年ラミレス一世について |
(ホセ・ラミレス1世の続き) |
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ま | これさ、中のね、ライニングなんかはありあわせの木をただぺこぺこ曲げた様なひどいもんなんだよ。ほら、あんまりきれいに曲がってないと思わない? |
さ |
う〜ん、何かこっちとこっちで(右と左)材が違うみたいに見えるんです。 |
ま |
昔の弁当箱のさ、端切れをぐにゃっと曲げた様な、 |
さ | そうですよね、しかもこっちとこっちで・・・ |
ま |
うん、違うような気がするね |
さ | ええ、材が、こっちは木目が弁当箱のようで、こっちはあんまり木目がないような |
ま |
うん、ないね。しかしまあ、出来上がった楽器の結果というのは、分からないもんだね、作ったときはこれ、どんな音したんだろう。 |
「A COLLECTION OF FINE SPANISH GUITAR」のホセ・ラミレス1世のページを開き、 |
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さ | 「ま」さん、さっと斜め読みしましたけど、これ(同書掲載のラミレス1世1907年)ローズでなくてマホガニーらしいですよ。 |
ま |
あっ、これが? マホガニー・・・、こんな色になってるかなあ? |
さ
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写真の撮り方でどうかわからないですけどね。 |
ま |
ローズウッドに見えるね。 |
さ | どう見てもローズですねえ。 |
ま |
マホガニーをネックに使うと・・・こんなに濃くならないよねえ。 |
さ |
ええ、ヘッド&ネックはセダーです。 |
ま |
そこで、セダーって云うのは、僕たちの云っているセドロだよね。 |
さ |
ええ、そうですね。 |
ま |
セドロとマホガニーっていうのはよく似ているんだけどね。よくわからないな。 |
さ |
こんなこと書いてありますよ。 |
ま |
要するに安い材料を使っていいギターを作ったと、 |
な | 現代でいえば・・・ |
ま |
日本で云えばMTさんみたいな役割だったということかな(笑) |
さ | その名前を知ってる人は、膝をたたく・・・でも、未だにそれを使っているスタジオミュージシャンっていますよ。MTのギター。 |
ま | あれはやっぱりそれなりの材料を使ってそれなりの楽器を作っていたというのが正当な評価だな。まじめに言えば現代ではやっぱりホセ・ラミレスじゃないの。いくつもクラスを用意しているし。 |
買出しに行っていた「か」が戻り、テーブルセッティング。放談に加わる | |
か | ところで、槇さんのは、音良くなったの? |
さ | 良くなったというか、最初から良かった |
か | ていうか、より良くなったの? |
ま |
やっぱり構造的に浮いてるのがあってね、そこを直したらより明確に |
な | 輪郭が・・・ちょっと新しい音になりましたね。 |
さ | 少しね。新しいとは違うな・・・ちょっと背筋がピっとなって、音が伸びる感じですね。 |
ま | 音、伸びるね。 |
な | やっぱり、音、ちょっと演奏会用みたいな、 |
さ | サロンから、 |
な |
音がより集中したというか、つまった感じ、 |
さ | いい楽器の全体像ですね。 |
ま | コンクールやコンサートにこれを持って行ったら、なんだあの古ぼけた楽器は、ってことになるかな。でも正面から見たらラミレスって読めるよね。 |
か |
(唐突に) |
(一同無言) |
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か | ほら、「さ」さんが初めて買ったギターの事です。山野で何とかを買ったとか、絶対何かの間違いじゃないかと・・・ |
さ |
下倉で山野というのが結びつかない? |
ま | あれはね、山野輝滋という製作者。山野楽器ではないのです。 |
か | あ、そうだったんですか・・・ |
(やや間があって) |
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ま | 話はもどるけど僕は、MTさんとかMYさんとかという人にお会いしたことないんだ。まあ、直接じゃなくても雑誌かなにかで写真を見たことがもないんだけど、 |
さ | MYギターというのもありますよね、でも僕は確認したことはないのです。 |
ま |
MTという人は実在したと聞いたことはある。 |
さ | 僕たちの先輩の方達はわかると思いますけど。 |
ま |
ああいう風に個人名にしてしまうと、個人の自作品って感じになるから不思議だよね。 |
さ | MTは僕がまだ現役(大学生のこと)の頃、ありましたよ。 |
ま |
あるある、それはあるよ。むしろ全盛期じゃないかな。 |
さ | という事は、70年代半ばはまだあったという事だよね。当時としては高いですよ、今考えたら。5万。 |
ま |
うん、5万とかね。 |
さ | 今だって、5万のギターはあるわけですから、あの頃の5万って云ったらだいぶ高いと思います。シナノギターが1.5万から2万だったんです。新入生が買う物ですね。「ま」さんがよく知っているであろう、シナノ、 |
ま |
僕たち1年生の頃は、まだ1万円以下からあった。8000円位からあった。いやあ、きょうは古いギターと云ったってこういう話をするつもりではなかったよな・・・なんだか戦後の物のない頃の話をしているようになってきた(笑)。 |
さ | まあ、こういう話もちょっと(笑)、僕の頃は18000円。 |
ま |
あの頃大学の授業料もがんがん上がっていたしさ。列島改造論の頃だから。国電の料金なんか毎年の様に上がった・・・ |
さ | 銭湯は僕が子供の頃は40円位、100円玉一つでコーラ飲んで風呂に入れた・・・ |
ま | 順番が逆じゃない? 風呂入ってコーラ、 |
さ | ハハハ、僕はもっと正調で、フルーツ牛乳、あれは銭湯でしか飲まない牛乳、壜のやつ。まず外では飲まない。扇風機にあたりながら飲む。 |
ま |
フルーツ牛乳みたいなのは、今無くなったね。駅の売店なんかであるのかな? |
さ |
今だともっとしゃれた名前であるんじゃないですかね。乳飲料とか云って、今は多分あれを牛乳といってはいけないんでしょ。 |
話はいよいよ外れる、ブレイクも兼ねる |
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か | 菜の花コロッケ、中が緑で面白そうだから買いました(時は春)。 |
ま |
この間、近くの菜の花畑に行ってね、花の開きかかったのを摘んできて、ゆでて食べたら苦みが全然なくて、すごく美味しかった。もっと摘んでくればよかったと思ったよ。「あまり採りすぎないで下さい」と書いてあるので、つまりは採ってもいいんだ。 |
さ | なかなか粋な書き方ですね。 |
ま | ところでこの間進呈した酒(黒牛という酒らしからぬ名前)飲んだ? |
さ | あ、飲みました。一日で飲んでしまいました、3人で。いやあ、おいしかったです。 |
ま | あれは吟醸の味だよね。吟醸とは書いてなかったけど |
さ | そうなんですよ |
ま |
さっき飲んでたビール、無濾過って書いてあったよね、あのお酒にもそんなようなこと書いてあった、だから要冷蔵って。飲むのは室温で飲んでもいいけど、保存は冷蔵庫で。 |
さ | 香りが良かったです。味わいも濃いんですけど、すうっと。 |
ま |
18度〜19度(アルコール度)。 |
さ |
結構高いんですよね、飲むとどっしり感がありました。 |
ま |
一度飲んでよかったから、まだあるかなと思って買いにいったらあったので2本買って、うちと君に・・・ |
な | いつぞや、みつけたと仰っていたあれですか? |
ま | そうそう、そういう物だから秋に仕込んで春までしかない。 |
さ | 限定ですよね。 |
ま | 今はもう無いと思う。ああいうのを見つけるのは楽しいな。 |
(思い出したように) |
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ま |
でもま、その8000円とか10000円とかいうギターはもうボディ全体が合合板製でね、弾きこんでいっても時間が経ってもよくはならない。 |
さ |
よくならないどころか、接着剤が劣化してわるくなることさえあります。 |
ま | そういうメーカーはそういうギターしか作らない。一番高いクラスが2〜3万で、表面板だけ単板になる。ちゃんとギターを練習するつもりならせめてこのくらいから始めないと。 |
さ | 今そのクラスが5万円くらいします。この辺からでないと楽器ではありませんと言っています。 |
な | この間ダイヤモンドダスト見たんです。 |
ま | ん? ダイヤモンドダスト? |
な | 冬の寒い日に北海道なんかで見られる・・・ |
ま | ああ、そういう意味ね、 |
な | 片山津温泉に雪の科学館ていうのがあって |
ま |
空気中の水分が一瞬にして凍る? |
な | マイナス20度位に冷やした、まあ、アイスクリームの箱ですね・・・そこに霧を吹くんです。 |
ま | ほう・・・ |
な |
するとそこでダイヤモンドダストができてフワッと広がる。すごくきれいなんですよ。その雪の科学館に雪の結晶の折り紙があるんですが、六角形の半紙、和紙かな、でそれを作った人が、「現代ギター」誌を1号から全部集めていたS先生です。 |
さ | そうなんだ |
な | どっかで見た名前だな、と思ったらそのS先生だったのです。僕と同門の兄弟子で。 |
さ | 富山大学の先生だよね。 |
な | もともとは昆虫学の先生です。 |
さ | 現代ギターを1号から集めている。 |
な | 今ロペスとハウザーをお持ちです。 |
ま | へええ・・・それはこの間持って行ったハウザー2世? |
さ | いや、別のものです。富山にハウザー2世がいくつもあるのです。 |
ま |
あるらしいね。 |
さ | 富山にハウザー1世はないの? |
な | 1世はないですね。 |
ま | でも知らないルートで持っている人もいるかも知れないね。どの楽器がどこにあるって結構知った様な気になっていても、一部分しか知らないのだろうね。なんでも某トーレスが結構あちこち動いているとか。 |
さ | そうらしいんですよ。 |
か | それって末端価格はいくらになるんですか? |
な | 末端価格? それってすごくいかがわしい商売みたいじゃないですか! |
ま | 末端価格って云うときはね、ある程度加工するものを云うんじゃないですか? 原油価格に対して、ガソリン価格みたいな事を。むしろあんまり加工しないで頂きたいものなので・・ |
な | 小分けするとか |
か |
ははは、すっすみません・・・小売り価格って云えばいいのか、 |
さ |
先日Sさんが云っていたのですけれど、日本だけが価格取り残されてしまって、 |
ま |
他は上がっているんだ。 |
さ | 先日1500万でハウザー一世が売れたと・・・ |
ま |
売れた! 売りに出たではなく? そういえば現代ギターの広告で、アグアド840万だって出てたよ。売れた売れないは別にして。 |
さ | この所、びっくりするのですが、アメリカでハウザーが売りに出てて、1500万だって。もう売るためにパンフレットが本になっているんです。そして状態のいいサントスが2000万以上したとか・・・ |
ま | 最終的に? |
さ | それはわからない。 |
ま | そういう色のトーレスも見てるし。そして、そのバインディングがさ、それはローズウッドじゃないかと、違うかな? あ、これも違うな・・・これ(バインディング)もこれ(ブリッジ)と同じじゃないかな、よくわからない。 |
か | じゃ日本以外ではギターの価格は全部上がっているっていう事なの? |
さ | まあ、そういう名器はね。 |
ま | それはつまり、日本に売り込みたい人がそう云って、フランスに売り込みたい人がフランスだけが遅れてるって云う、みたいな事ではないのかな? |
さ | 今度聞いてみよう、そういうことではないのですかって。 |
か | そんなら一緒に行ってみますか、迎えに行くよなんて云われたりしてね・・・ |
ま | 1960年代に書かれたヴァイオリンの本を見てるとね、「時価数千万円と言われているストラディヴァリウス」という書き方をしている。 |
さ |
60年代ですか? 60年代で数千万円というのはすごいですね。 |
ま | まあ、その数千がどの位なのかは分からないけどね |
さ | 1千から9千までありますからね。 |
な | 今後中国の需要が増えたら高騰しますね。 |
ま | 中国人が買い出したら、大変だろうね。 |
さ | 今、噂では現役の名工といわれる、例えばマリンとか、これからあまり作れないだろうと云われている人たちの作品が中国で買い占めが始まっていると・・・ |
ま | 中国はいま、まさに日本のバブル期みたいでさ、日本の20年前をやっている訳だけど、北京オリンピックが終わったらどうなるんだろう。そこからが真価の見せ所だね。 |
か | はじけてしまうのではないかしら。中国バブルの恩恵をこうむっている若い人達(中国人の)、すごいよね、テレビで観たけど。 |
さ | もっと成熟した所でオリンピックやって終わったら廃墟かもしれないけれど。反対に日本の東京オリンピック以降を思えば・・・ |
か | より経済発展する可能性もある |
ま | そういう見方もできる。 |
さ |
中国がコホンとしただけで、世界中ぐらぐらになってしまうかも知れない。 |
ま | なにしろ世界の人口の5分の1だからね。 |
(この放談をしたときには昨今世間を騒がしている中国産食品の問題は出ていませんでした) |
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ま | ところで中国の女性のギタリストで、リー・ジーっていうのかな・・・知ってる? |
な | あの4人組に入っていませんか? |
さ |
フォーエンジェルと云われています。(DVDの写真を見せる) |
ま | 名前はこうだけど、顔は違う |
さ | 4人の中で、どれにも該当しませんか? |
ま |
うーん、いないね、ユーチューブでパガニーニのカプリス弾いているの、とうもそれがリー・ジーらしいのだけれど、同じ画像がいくつも出てきてね、別のには、unknownって書いてある、unknown Asian guitar soloistって。ギターを構える姿勢がそのジャケットとは違うから別人だと思う。気になるのが、ギターがワイスガーバーみたいな格好しているの、ヘッドの感じが。ただそんなものをあの若い女性が持っているわけはないなと思って。 |
さ | あの例のデュオ、あれがそのギターだと思う。サウンドホール楕円でした? |
ま | いや、楕円じゃなかった、 |
さ | 韓国の製作家(キム・ヒホンさん)の人のプロデュースした中で、中国のデュオの一人がそのワイスガーバーっぽいのを弾いている。 |
ま | じゃ、それの可能性が高いな、うまいよ。 |
さ | そう、うまい。簡単な曲を弾いてると見えるくらい。 |
な | あの娘じゃないですかね、スー・メン? |
さ | そうだね。 |
な | ワイスガーバーのヘッドってどんな形なんですか? |
ま | いろいろあって決まってないんだけど、それは先が長くて穴が開いていたな。 |
さ | じゃ、そうです。 |
ま | ワイスガーバーじゃないかも知れないけれど、旧東ドイツの、あの辺の、 |
な | 僕も何だろうこのギターと思っていたんですけど。 |
ま | いや、うまいはすごくうまいよ。 |
な | DVDありますよ。 |
ま | 赤いスカートだったかな。 |
な | あのカプリスは実際見て、驚愕の・・・ |
さ | 2年前の東京国際、17歳で1位、そのほか去年ヨーロッパでも北米大陸でも全部優勝。 |
ま | じゃ、往年の山下くんみたいな。 |
な | もっとなめらかです。 |
ま | うん、なめらかだね。曲芸みたいな感じは全然しない、成熟してる。 |
な | 今見られますよ。 |
さ | 中国でもカプリスあんなに弾ける人は、そうぞろぞろはいませんよ。すごかったですよ、僕はライヴで見たけど。 |
ま | この曲、40年前ジョン・ウィリアムスが弾いたね。 |
さ | 彼しか弾けなかった。 |
な | それから山下くんが弾いた。 |
さ | 彼のはすさまじかった・・・ |
な | それを中国の女の子が軽々弾く時代・・・ |
ま | この調子で中国が発展していったらどんなことになるのかね。 |
さ | 楽器足りないですよ、こつこつと作るヨーロッパの名工のギターなんて。 |
か | 今、量産品(ギター)は中国製作になっているけれど、どんどん出てくるんでしょうね。 |
ま | 中国では今ヴァイオリンもすごい数で作られているらしいよ。 |
さ | ヴァイオリン族はすごいですよ、今。 |
ま | オークションでもたくさん出ている。中国製のヴァイオリン。 |
さ |
中国のヴァイオリン、チェロ、このあたりはかなりいいレベルみたいですね。ヨーロッパの50〜60万位だったら中国が一番だと。 |
ま | やっぱり東洋人って器用なんだね。 |
(DVDをかける) |
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ま | 髪型が全然違うなあ、僕の見たのと。 |
さ | それって4人の? |
な | オープニングですね |
ま | (構えを見て)これ(右端Li Jie)かも知れない、でもこんな硬い音で弾いてなかったな。でもやっぱりこの娘かな。 |
さ |
今中国でナンバーワンです。この人達を教えている先生がすごいんですよ、音楽の先生じゃないんですね、たしか数学の先生・・・女の子にしか教えない。何か理由があって、小さい時から英才教育なんだけど、やわらかさとか、 |
な | 最近男の生徒ですごいのがいるらしいって聞いたんですが。 |
さ | ついにそういう素材も出てきたんだね。 |
(後日調べたところ、スー・メンとリー・ジーのどちらもカプリス24番を軽々と弾いていました。中国の英才教育おそるべし) | |
ま | 以前陸上競技で馬軍団ってあったじゃない・・・ |
か | えっ、そうするとギター界の馬軍団とかできちゃうわけ? |
さ | そう、まさにこれはギター界の馬軍団 |
ま | 陸上の馬軍団ってたしか男はいなかったよね。女子ばかりだった。 |
さ | あれは奇跡のドーピング・・・ |
か | 疑惑が出て消えちゃいましたよね。 |
さ | その時の王軍霞の10000メートルの記録はまだ破られていない。 |
ま |
そう、男子並みの記録。 |
一同 | わああ怖い。 |
さ | 来年の北京オリンピックはみものですね。 |
か | 中国が金メダル独占・・・ |
さ | プレオリンピックには出ないで、突然本番ですごいのが出てくると思うんです。 |
ま | なるほど、 |
(オリンピック談義になると際限がない) |
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(DVDを見ながら) |
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ま |
ああいう音は新しい楽器でないとでないね、ああいうキンキンした音は。(キム・ヒホンの楽器は)腕のあたるところを二重構造にしているでしょ、効果あるの? |
さ | スモールマンがやったんですね。 |
ま | ああ、そうなの。 |
な | 使ってみると普通のギターですけど。 |
ま | それより女性が演奏会という、みんなこんな格好(腕の露出)して出てくるんだけど弾きにくくて仕方ないと思うんだけど、直にあたるし。 |
さ | 佳織ちゃんはここにアームカバーしてます。 |
ま | クラシックのコンサートの場合、女性はみんなこんな感じ、ヴァイオリンでもピアノでも、サービスしてるのかな。 |
さ | (DVD)こちらのもう一人の子は、まだ東京国際の最年少記録持っています。佳織ちゃんの次の年、14歳くらいで優勝した。 |
ま | 佳織ちゃんは出て来たとき14歳じゃなかった? |
さ | いや、何ヶ月かの差、佳織ちゃんは中学3年生で15歳の時だった。 |
ま | 佳織ちゃんと岩崎恭子が同じ歳なんだよね。 |
さ | 水泳の? |
ま | そう、14才と1ヶ月で優勝した、 |
さ | バルセロナで、 |
ま | そう、それが未だに水泳の最年少記録でしょう? 鋭い音だなあ、それこそコンクールに強い音ってあるんだよね。(DVD観ながら)こういう楽器(件のラミレス)は弱いかも知れない。 |
さ | いまコンクールで聴く音で、ああいい音だなっていう、そういうギターの音を聞く事ってあまりないです。 |
ま | コンクールで弾かれる曲、自由曲にしても課題曲にしても割りに現代曲が多いからじゃない? |
さ | 今はね、全部やらせるんですよ。 |
ま | 全部やる? |
さ | 東京国際は時代様式全部。課題曲で。 |
な | いい音っていうと、あのドイツの姉妹、白いギターの。音量は小さかったですけど |
さ | ディートリッヒの人? |
な | そう、ディートリッヒの人、いい音でしたよ。 |
さ | あれをいい音という人は、「な」くんは非常にマイノリティ、だってみんな音が小さいって云って一刀両断ですもの。 |
ま | コンクールは出た時に、まず音が大きいか小さいかで相当決まるじゃない? うちにヴァイオリンの名器を何台も集めて弾いたというCDがある。一人のヴァイオリニストがアマティ、グァルネリ、このグァルネリはあの有名なデル・ジェスではない別のグァルネリ、グァルネリは何人もいるから。それからストラディヴァリウスとか。それぞれでバッハの無伴奏ヴァイオリンの何番かのサラバンドを弾いているわけ、あのシャコンヌのある、 |
さ | ああ、パルティータの二番、 |
ま | そうそう、そのサラバンドを弾いているわけ、どれ聴いても違いは解るんだけど、どれが一番いいとかは別に思わないんだ。どれもそれなりにいい。でもね、多分本物聴いたら、また違うと思う。て云うのはCDになった時に、多分全部同じヴォリュームに揃えて作ってる。 |
さ | ああ、それだとCDで聴いても解らないですね。生で聴かないとね。 |
ま | そうなんだよ。ここで一つの楽器を誰かが弾いた時でも、まず最初に一番大きい音、あるいは明瞭な音がでると、ああ、これいい、とこうなると思う。音量で。コンクールって多分にそれが左右すると思う。小さいとか、なんかちょこちょこ小細工しているというのは全然受けないのではないか? |
な | ギター内蔵マイクか、ギターの中につっこんでしまう(笑)・・・ |
さ | そのままの感じて・・・ |
な | ギターをスピーカーにして・・・ |
ま | そういうヴァイオリンあるよ。 |
な | え、どういう? |
ま | ヴァイオリンの形をしたスピーカー、ヴァイオリンの中にスピーカー・ユニット入れてあるの。部屋の片隅にヴァイオリンが置いてあって、そこからCDの音が出てくる。別にヴァイオリンの曲でなくてもいい。 |
な | じゃ、ヴァイオリンが共鳴して、スピーカーの役割もしていると。 |
ま | そう、いいヴァイオリンじゃないよ、ヴァイオリンの格好をした箱という程度だよ。スピーカーの箱がただヴァイオリンの格好しているだけというだけの事。それが何ランクかあって一番高級品は弦楽四重奏になっているわけ。どこかの家具屋で見た。 |
さ | スピーカーでも、時間が経って音が良くなるという事はありますか? |
ま | そりゃあ、ある。絶対ある。ユニットも箱も時間をかけて使えばなりやすくなる。楽器と一緒さ。何でもそうだけど、古くなった方がそういう音になるよね。角のとれた、やわらかい、酒の味と同じ。 |
さ | ワインだって、オークションで1909年位のシャトーラトゥールってありますものね。 |
な | どんな状況下に置かれているか解るんでしょうか? |
ま | それは、解らないことが多いね。 |
な | じゃ、店に置いてあるスピーカーも。 |
ま | それこそ、ワインなんか楽器の由来と同じ様で、どこそこの倉庫に保管してあったという証明が付けば・・・ |
な | これなら信頼できると。 |
さ | ワインなんて保管状況だけですね |
ま | だれが使っていたかというのはヴァイオリンの値段の重要な要素らしいよ。 |
さ | ギターでもそうですね、セゴビアが使っていたなんていえば。 |
ま |
そう、ヴァイオリンはもっと古いから、タルティーニが使ってパガニーニに渡って、ヴィヨームが修理してとかなんとか、履歴書つきだな。 |
か | 日本の古美術もそうですね。 |