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◆ 第20回 | 主なテーマ | 2008年2月14日 銘器を並べて |
サントス・エルナンデス1929年、アントニオ・エミリオ・パスカル・ビウデス1938年、アルカンヘル・フェルナンデス2003、2006年、マルセル・バルベロ・イーホ2003年、楓のマリン2007年を並べる。この日もかなりの名器がそろった。 |
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マルセル・バルベロ・イーホの口輪のモザイクについて、古い現代ギターのグラビアから、 |
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左からマルセル・バルベロ・イーホ2003年、アントニオ・マリン・モンテロ2007年、アントニオ・エミリオ・パスカル・ビウデス1938年、アルカンヘル・フェルナンデス2003年、アルカンヘル・フェルナンデス2006年 |
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ま
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前から気になっていたんだけれど、これはね、小原安正さんのバルベロ1世の写真・・・そしてこれ(イーホ)はそれをそっくり真似して作ったのではないかと思うのだけどね。図柄はそっくり、だけど印象はかなり違っている。1世の方が立体的、イーホはいかにも平面的だね。モザイクというよりただ単にシール貼った様な感じ。 |
さ
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何がそうさせるのですかね。 |
ま
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木の厚さ、薄さかなあ、それと色がくっきり出過ぎているというか。で、これがね、前にここにあったバルベロ1世の54年。そしてこれは僕のサントス、よく似ているんだよ。バルベロはこれを真似て作ったに相違ない。 |
さ
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色の雰囲気から似てますね。組み合わせが。 |
ま
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で、この(サントスの)三角をひっくり返して対称にするとこう(バルベロ)なるじゃない? これからこれにいってこれからこれに・・・(サントスからバルベロ1世にそしてイーホに) |
さ
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なあるほどー |
ま
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そしてバルベロ1世のこのラベルはサントスのそっくりさん。で、このバルベロ・イーホもそういう図柄をしている。 |
さ
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バルベロ1世に戻したみたいな感じですよね。 |
ま
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モザイクもそうだけどやっぱりこのラベルもね、1世に比べて平面的にツルンとしている、色は白いし、 |
さ
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そうですよね。 |
ま
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とは云いながらこれは結構いい楽器だね。今まで見たバルベロ・イーホの中でもかなりいいものだと思う。 |
さ
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このバルベロ・イーホ? |
ま
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うん、いいと思う。素直な音がする。 |
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アントニオ・マリンの新作を手に取る。横・裏がメイプルという珍しいもの |
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ま
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あ、この楽器いいねえ・・・ちょっと華奢かも知れないけど、軽いし。裏から光が透けそうなくらい。 |
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音を出す |
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さ
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これはいいですね。 |
ま
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いいねえ。新品なのによすぎるくらい。今からこんなに鳴ると却って心配になるね。使い込んだらどうなっちゃうんだろうと・・・ 表面の眺めが渋いね、地味だね。 |
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さ
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そうなんですね。裏のメイプルがあまりに明るくてきれいなので、表が地味に見えますね。 |
ま
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このところ、メイプルが見直されているというか、使う人が増えてきているような気がするね。 |
さ
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そうそう、そんな話をしていたのです。話をしたらその材で作ってくれたんです。 |
ま
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ということは材はあったんだね。 |
さ
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と、云うのは、時を同じくして某ギターショップの広告で、ホセ・マリン・プラスエロのメープルが出たんです。 |
ま
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あったの? じゃ材料があって・・・ |
さ
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一緒に作った・・・ |
な
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そうですね、絶対同じ。 |
ま
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マリンのヘッドはローズウッドなんだね。ここに以前あったフレタのメープルはどうだっけ? |
さ
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あれは・・・これ(横裏)に準じていたと・・・ |
ま
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ローズウッドだったような気がするけどなあ・・・家に写真が残っているかも知れない。 |
さ
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かなり昔ですよね。 |
ま
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うん、ここに移ってすぐだから、10年も前。 |
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(正解はローズウッドでした。特選品カタログ1995年、イグナシオ・フレタ) |
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さ
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フレタの杉も出しますか? |
な
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あっ、そうだ |
ま
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へえ、フレタもあるんだ。 |
さ
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ジョンがバリオスのレコードとかいろいろ使ったのと同じ時代の物ですよね。 |
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ここでイグナシオ・フレタ・エ・イーホス1973年が加わる。 |
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音を出す |
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ま
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前にも杉のいいフレタあったよね。 |
さ
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70年の、しばらくありましたね。「T」さんの |
ま
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あれよりちょっと重いかな。 |
さ
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そうですね、こちらの方が重量感ありますね。 |
ま
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これもいいね、うん。 |
さ
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この塗りはオリジナルですね、つーっとひび割れが入って |
ま
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ああそうだね。結構膨らんでいるね、ボデイが。フレタってこんなに膨らんでいたっけ? |
さ
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ええ、フレタは意外に、 |
ま
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杉だから黒ずんでいて見栄えはよくないけど、音はいい。 |
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ずらりと並んだ楽器を見て |
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ま
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この中で大いに興味のあるのは真ん中の二つ(アントニオ・マリンとアントニオ・エミリオ・パスカル)だな。 |
さ
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パスカルは古い現代ギターに出ている楽器のまさに4番違いなんです。いい音しますねえ。 |
ま
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まあ、あの音は新品では出ないからね。こなれた音、70年前か・・・ |
さ
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そうですね。 |
ま
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熟成された音。インターネット見ていたら、なんかパスカルの事が好きで一生懸命書いてる人がいたなあ・・・ |
な
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そうそう、マンホンの11弦を持っている人じゃないですか、それをすごく掘り下げて書いていた。 |
ま
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そう、熱心な人で。マンホンの11弦ってよく解らないのだけれど・・・あっトーレスが作っていたのがそうなのか? |
さ
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1から6弦が中心にあって、ネックは普通の幅で外側に低音弦が同一線上でだーっと・・・ |
ま
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そうか、だから6弦に改造可能なんだ。 |
さ
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トーレスの11弦で6弦に改造されたのがありますよね。 |
ま
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うん、確かバルベロ1世が直したのがあるはずだね。多弦ギターは全部の弦を弾けるというか、押さえられる構造に作るかどうかっていう事がポイントだよな。で、イエペスとかセルシシェル式では、みんな指板上にあるんだ。実際に押さえられるどうかは別にして。でも、本気で押さえるとすると、やっぱり7弦8弦が限度だね。 |
さ
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そうですよね。 |
ま
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それも、そこだけ押さえるっていう。セーハしてほかの弦も一緒にというのは無理だね。11弦ギターって7弦までだっけ? ナットのところに同一線上にあるのは、 |
さ
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そうですね、それ以下は弦ごとにナットが1個ずつあるのです。 |
ま
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1個ずつあるということは・・・ |
さ
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同一のところのでは7弦なんです、8、9とだんだん伸びていきます。階段状に。 |
ま
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ということは8弦以下は低いフレットってもう押さえられないじゃない? 開放の半音上っていうのは押さえられないでしょう? |
さ
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そうですね。 |
ま
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つまりは事実上フレットは付いていても使えるのは開放だけだよね。 |
さ
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そうですね、確かに。 |
ま
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まあ、3フレット4フレット以上を押さえると思えばできるんだけどね。この間、松井さんの所で11弦の作り掛けを見たんだよ。 |
さ
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今頼んでいるのです。 |
ま
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そうだったのか。指板だけが乾燥のためにぶら下げてあった。見慣れないからなんだかわからなくってね。ネックも見せてくれたけど、組み立てる前だと本当に異様な形に見えるね。ヘッドとの継ぎ目がすごく立体的だから。作るのもえらく手間だって云ってたな。 |
さ
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横板を曲げるのも大変だし。 |
ま
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うん、そう。 |
さ
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僕も80年代にちょっと11弦練習したことがあるのですが、すぐに指壊しました。 |
ま
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うん、何か普通の動きじゃ済まないものね。 |
さ
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僕は親指が変になりました。 |
ま
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消音が大変だよね、弾く以上に大変。一つ鳴らしたら6本位鳴っちゃう感じでね。 |
さ
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セルシェルはいろいろなテクニックで消すのだと云っていましたよ、 |
ま
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左手だけでは届かないもの。 |
さ
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そう、いろいろと使って。 |
ま
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セルシェルが普通の曲を弾くときは6弦ギターを使うよね。11弦はそれ専用の編曲なんだ。イエペスはいつでも10弦だよね。普通の曲弾くときは止めとけば(消しておくという意味)いいと思うんだけどね。ところで、10弦ギター用のカポタストってあるんだって? |
さ
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あっあります、あるんですよ。 |
な
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すごいですよね、一瞬何か分からないでしょうね、見たって、長いから。 |
さ
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いろいろなアイデアマンの「O」さんっていう方がいるのですが、彼は片側だけ押さえるカポタスト、部分カポとかそういうのを・・・ |
ま
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あ、そういうのあるらしいね。マンホン式の11弦ギターで3フレットにそれを使うとセルシェル式11弦ギターになると。 |
さ
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そうそう、そういうことですね。可能ですよね。 |
ま
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普通に全部弾くつもりで弦を増やすのなら、ホセ・トマスが使っていたような8弦ギター、せいぜいあれが限度ではないかな。レとドで調弦しておけば押さえるという前提で色々な曲が弾ける。 ラミレスの本って今ある? |
さ
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あ、あります。 |
ま
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これは家にある別の本と表紙がよく似ている。これがビセンテ・アリアスの写真なんだけど、やっぱりギターのボディっていうとこのラインを撮りたくなるね。 |
さ
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そうですねえ。 |
な
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同感です。 |
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別の本を取り出す。これも似たデザイン。 |
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ま
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この本はバックが黒であまり目立たない、ラミレスの方が引き立つね。 |
さ
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これはアーリーギターの本だから、あ、これは裏がそうですね。ラミレスはそこまで凝ってない。 |
ま
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ああなるほど、裏がそうっていうのは |
さ
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これアイデアですね、センスいいですね。 |
ま
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このラミレスの本で面白いなと思ったのはね、内部の構造は何にも音に関係しないっていう所。 |
さ
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ほう、 |
ま
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色々試してみたけれど、全部同じ音なんだってさ。(P. 166) |
さ
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ああ、ラミレスは。 |
ま
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その割にはラミレス独自の構造をずーっと続けているよね。 |
な
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そうですね、太い力木が斜めに長く入った。 |
ま
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7本バーとか色々やったけど、みんな同じだった、よくも悪くもなかったからがっかりしたと書いてある。そして、塗装に関してはセラックは品質の低いニスであると、随分ひどいことを書いてあったね。(P.173、176) |
さ
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そういえば、河野さんはカシューにこだわっていましたね。 |
ま
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ラミレスがいうユリア樹脂がどうのというのがよくわからない。ユリア樹脂ってさ、尿素樹脂なの。 |
さ
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尿素? |
ま
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で、尿素樹脂って云うと、代表的なもので何があるかと云うと、例えば木工用ボントがユリア樹脂だな。 |
さ
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ボンド・・・ |
ま
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ボンドが尿素樹脂の接着剤なんだ。ユリア樹脂の塗料って調べてみたんだけどよくわからない。だからここに書いてあることの真意がわからないんだ。ラミレスの塗料って何だったんだろう。 |
さ
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最近のって云うか、70年代後半とか80年代頃からの塗りと、60年の塗りと明らかに違いますよね。 |
ま
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違う、後年の方がやっぱり厚くなっているよ。 |
さ
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厚いしピカピカしてますよね。 |
ま
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それで、最近のはスプレーじゃない? 駒の継ぎ目のところとか、こういうとこで分かるよね。 |
さ
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要するに、プラスティックコーティングみたいに。 |
ま
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そう、角の辺に塗料がたまっているもの。あれはやっぱりスプレーだと思うね、これは。昔のは結構薄いよ。70年代前後のもの沢山見たけどみな薄いもの。 |
さ
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そうですよね、要するに手塗りだった? |
ま
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手塗りだったのかなあ。 |
さ
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手塗りだから手間もかかった。その代わり弟子の数も60年代には沢山いたのですから。 |
ま
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そう、15人から20人位いたはずだもの。 |
さ
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でも後年いくつもクラスを分けて、それだけ大量生産になったと云うことは、どこかで時間がかかる工程を省いたと。だって、10人が100人になった訳ではないでしょう?簡単にできるのは、やっぱりそこの工程だよね。時間がかかるのもそこだし。 |
ま
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モザイクを埋めている写真もあったね。(P.116)輪っかに作った金太郎飴じゃないのかと思ったんだけど。これ一個ずつ埋めているんだね、 |
さ
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金太郎飴じゃないですね。 |
な
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これの元はもしかしたら、金太郎飴? |
ま
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いや、もちろんこの小さいピースはそうだけど。今は全体がもう輪っかになってできている。 |
さ
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だって、ダイワマーク、口輪専門メーカーがあるくらいだから。 |
ま
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あっ、塗ってる。これ艶出し工程だ。耐水ペーパーでこする。こんな事、今やっているのかな?(P.219) |
さ
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やっていたらそんなに本数は作れないですね。 |
ま
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最高のランクだけやっているのかな? |
さ
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センティナリオとかですか? |
ま
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うん、 |
さ
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でも、僕はほんの・・・20年位前、センティナリオ出来た頃、何ら違いが分からなかったですね。音の違いは。あれ? みたいな感じでしたよ。 |
ま
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カマラとか、 |
さ
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カマラね、いや感心しないな。 |
ま
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そうなんだよね、こんな事でできるのならばって、 |
さ
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止めましたものね。程なく無くなりましたものね。 |
ま
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カマラっていうと、「狼に育てられた少女」って思い出すんだなあ。知らない? |
さ
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あっ、昔ありましたね。 |
ま
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インドの山で見つかって、カマラとアマラっていう姉妹。 |
な
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二人とも育てられたのですか? |
ま
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そう、二人とも狼の巣から見つかったの。発見当時推定年齢8才と6才位、 |
さ
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結局人間になれなかったのでしたっけ。 |
ま
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なれなかった。妹のアマラが早く死んで、お姉さんのカマラがとても悲しんだ。で18位まで育ってやっとその頃になって二本足で立って、服も着られるようになって、片言の言葉をしゃべれるようになって、でもその子も亡くなってしまった、20世紀初頭の話。人間はどこから人間かという教育上の問題に取り上げられる話だよ。これは拾って育てたのが牧師さんなんだ。教会の中で育てた、ショッキングな写真が沢山ある。あとフランスの山奥で見つかった「アベロンの野生児」って話もある。どのように教育しても言葉もだめだった、だから、人間は生まれ落ちてすぐ、人間の中で育てられれば人間になる、というんだ。もう一つの仮説もあって、生まれながらの白痴だったという話もある。でもやっぱりそんな偶然はないのだから・・・ |
な
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赤ちゃんの時でも寝ながらにして人間の言語に反応しているのですものね、脳なんかは。 |
ま
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そのうち、こちらの云うことに反応するんだよね。おいでと云うと、にこにこして、はいはいしながら来るんだよ。そのくらいが一番かわいい。 ・・・楽器でも生まれながらの名器っていうのはないんだよね・・・誰かがどこかで使った事で名器になるんだ。ストラディヴァリウスを最初に使った人が誰だか分からないけれど、ガルネリウスって云うのはパガニーニが使って名器になった。 |
さ
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キャノンって云うのはガルネリウス? |
ま
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そうそう、今ジェノヴァの市役所にある。これは1年に1回空気を入れ換えて誰かに弾かせるのだそうだ。だからセゴビアのラミレスやハウザーもそういう行事を設けてくれるといいのだけれど。 |
さ
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ギターもそういうのありますかね。誰かが使って名器になったという。 |
ま
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セゴビアのハウザーはそういう例だろうね。ラミレス3世もそう。ブリームのロマニロスとか・・・みんなそうか。 |
さ
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もっと新しいもので・・・ |
ま
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新しいものでまだ名器というほどのものはない気がするんだけどなあ。 |
さ
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でも僅か80年代以降だって、スモールマンはジョンが使って名が知れたし、ロバート・ラックだってバルエコが使って、ギルバートはデヴィット・ラッセルが使って・・・いずれも残る名器ではなさそうな気もするなあ・・・いわゆる流行歌みたいな。スタンダードではなくて、その時代の。でもこの回転の速い時代で20年も名が残れば充分なのかな? 今のスピードで云えば20年って長いよね。 |
ま
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20年は長いね、今の時代で云うと。 |
さ
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20年名が通っていたらすごいですよね。スモールマンだってそろそろ30年でしょ。ジョンがはじめたのは81・2年ですから。ロバート・ラックだってバルエコが使って25年、ギルバートも20年以上でしょ。 |
ま
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スモールマンは木村大が使っているんだって? |
さ
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そうです。それとあの表面板システムは残っていますね、今東京国際など世界から来て本選に残っている様な人は、そのシステムのギターを使っていますね。 |
ま
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それはやっぱり鳴るという事? |
さ
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うん・・・ |
ま
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コンクールは、バンと音出して鳴る事がまず勝負でしょ? |
さ
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そうですね。 |
な
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一音ばっと出た時が・・・ |
ま
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ぱっと目が覚める様な音。 |
な
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なんかこう空気を変える力はありますね。 |
さ
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ただね、誰が弾いてもシステムの音が聞こえちゃって、昔の・・・稚拙な頃のコンクール、東京国際になる前の方が音にはっとする事が、演奏にははっとしなくても、今でも音の記憶が残っている人を何人も挙げる事ができます。その場面をね、 |
な
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だからそのシステムを皆が導入してやると、はっとしないでしようね。 |
ま
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でも何しろ鳴るからそのシステムを持ってコンクールに出るのであって、その人がコンクールを卒業した時、それを使うのかな? |
な
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使い続けている人もいますね。 |
さ
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今のプレーヤーだと結構いるんですね。中国の人達はまだ音の意味がよく分からないかも知れないからね。ヨーロッパから来る連中は、そろそろ変わってくるような気がする。 |
ま
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システムって・・・ |
な
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トラディショナルなものと、 |
さ
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ワッフルとダブルトップ、この3つだね。ダマンのサンドイッチ構造、ハニカム構造と・・・ |
な
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飛行機や宇宙船のパネルの構造、 |
ま
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宇宙船の本体がそうだ、まぁ、ダンボールだよ。 |
さ
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その表現、すごくわかりやすかったです。 |
ま
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ダンボールを横に並べてぱーっと横に切ればああなる。 |
な
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飛行機の翼もそうではないですか? |
ま
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そうかも知れない。ダンボール縦に並べて上に乗ったら丈夫だものね。 |
さ
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で、楽器の話でおもしろいのですが、川田さんが唯一日本人でずっとワッフルやっているのですね。で、スモールマン・システムって重いんですね、でも川田さんのは全然持った感じではわからない。 |
ま
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川田さんのは? 横裏は普通で・・・表面だけ、 |
な
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いちむじんモデルは違いますよね。 |
さ
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あれは違う、それでね、川田さんて云うのはトーレスの事もずっとやっていて、ブーシェも、ブーシェはちょっと違うか・・・、SKT35位のだと、TもWも、前は違ったのです、TはトーレスのT、WはワッフルのWで、いまではあまり変わらないのです、川田さんの音なんです。これは何なんだろ? あまり変わらないでしょ? |
な
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僕は違いがよく分からないですね。 |
ま
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だから、そういう物なんじゃないの? |
さ
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さっきのラミレスの話にたどり着きますね。どんな構造でも・・・いや、今ふと、話が繋がっちゃったな・・・意図して話していた訳ではないのに。びっくり。 |
ま
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アグアドだって、色々な事やっているけどみんなアグアドの音がするじゃない、サントスだって色々あるけどやっぱりサントスの音。 |
な
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音造りをし始めたら、もうそういう風になっちゃうのでしょう。 |
さ
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川田さんもついにその域だね。川田トーンだものね。 |
ま
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その人の作り方で何が一番向いているかという事もあるだろうしね。それは素材にも云えてさ、米杉が向いている人もいるし、ローズウッドが向いている人もいる。 |
さ
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それで云うと、川田さんは、ワッフルバー構造は、ダブルトップもそうなんだけど、新しくできた構造は大体杉の方がいいですね。楽器として成功している。 |
ま
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ダブル構造はね、これは2枚重ねのあの間に、さっき云った通りダンボールだから、空気をためる事になるでしょ? それが強度や音に影響しているんだろうなって思う。 |
な
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空気はあんまり関係ないのではないかと・・・軽量化されて、蜂の巣の縦の構造よりそのダブルの表板と裏板を一枚の板としてつなぐということで強度が増すので。 |
ま
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そうだろうか、やっぱり空気も強度に一役買っている気がする。 |
な
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空気よりもH鋼のように縦に強いということだと思います。 |
ま
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うーん・・・じゃ言い方を変えて、段ボールを強く張って叩くとよく鳴るよ。発泡スチロールもそうだ。それもパシンって云う爆発的な音で鳴る。実際ギターもそういう音になっていない? |
さ
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う〜ん・・・ |
な
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あの立ち上がりが、コンと、 |
さ
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初速が早い。 |
な
|
破裂的な音で。 |
さ
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それを遡っていくと、杉の方が松よりもこちらに近くて初速が早い材なのですかね。それはまた別ですかね? サスティーンは松の方があるよね。 |
ま
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あるねえ。 |
な
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密度が高くなった方が伸びるし、初速は遅くなるし、杉なんかは・・・ |
さ
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で、サンドイッチ構造とかそういう風にしたときは効果が得られると。 |
ま
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より軽いという程に、その特徴をより活かす。杉の方が特徴がよく発揮される。 |
さ
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スモールマン、松もあったのですが、よくないんですよ。全然面白くない。で、スモールマンでなくとも所謂新時代と云われた楽器はほとんど杉の方がいいですね。ロバート・ラックしかり、ジェイコブスンしかり。 |
な
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テンポが早い方がいいとか、その442ヘルツで・・・ |
さ
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唯一違うのは、ギルバート。 |