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◆ 第21回 主なテーマ 2008年2月14日 銘器を並べて つづき 
写真は第20回も参照して下さい

大学の頃、名古屋出身の後輩がいてね、高校の頃に名曲喫茶に通っていたんだって。その名曲喫茶でリクエストで長いこと一番だった曲がある。何だと思う?
もう40年も前の話。

名曲喫茶でですか?

名曲喫茶ってジャンルとかあるのですか?

大体はクラシックだけ。

一番・・・ベートーヴェンとか?

その時代はね、レコードの売上が一番なのはヴィヴァルディの四季、イ・ムジチの。
二番がカラヤンとベルリンフィルの運命と未完成交響曲。

ということはその店でリクエスト一位って云うのは、イ・ムジチじゃない?

違う、そのころそこでは違ったんだそうだ。

何だろう? 発祥の地は名古屋? ・・・パッヘルヘルベルのカノンとか。

ああ、そっちへ行くか・・・そこではね、ベートベンの7番だった。

7番ってすごく渋い曲じゃなかったですか?

渋いというか、いい曲だよね、第二楽章が「♪♪不滅のアレグレット」とかいわれている、最近「のだめカンタービレ」ではやったんじゃない?

ああ、使われてますね。

実は観てないから知らないんだけどね。

ドラマなんですね、その前はコミック。

僕は珍しく観てしまいました。正月にまとめてやったのを観た。

そこで7番とラフマニノフの2番ピアノコンチェルトが出てきて、それでこの2曲がそれまでクラシックを聴かなかった人にも随分知られてきたらしい。テレビの影響は大きいから。今クラシックというとその二つらしい。それに相当するのは往年の四季と運命未完成。

昔の話ですね。

そんな時代にベートーヴェンの7番だったからその名古屋人が威張る訳さ、名古屋は文化程度が高いのだと。

当時クラシック喫茶って一度も入ったことないですね、ロック喫茶とジャズ喫茶ばかりだった。

もっと子供のころにさ、肉屋でコロッケ買って食べなかった?

食べました、食べました。1枚5円。

え、5円? 君のころもそうだった? 僕のころと同じだ。

5円です。ハムカツが8円、メンチカツが10円。

 

  

 

昭和30年代の話です。これも今はやりの・・・

 

  

  この日は「か」が仕事で急用ができ、急遽お弁当だけを用意して収録に出席できず。
この日のお弁当は新装なった東京駅「大丸」の地下で調達。
大丸の地下、1階のフロアはお総菜、和洋菓子など今までデパ地下には入らなかったお店もある。駅ナカの「グランスタ」も出来て賑やかで選択肢が拡がった印象ですね。

ブレイクタイム

   

そんなだったんですか、僕のころはコロッケ60円。

それでは今と変わらない。

なんだか、物価の変遷というのはものによって違うんだよね。僕が35年前に社会人になったころの昼飯代は大体400円。吉野家の牛丼はそのころも300円だったよ。今と同じ。

そのころの400円は高いですね。

うん、高いね。初任給6万とか7万の時代だから。でも当時はそんなものだと思っていた。衣食住のうち、ぜいたくをしなければ35年前から食は上がっていないね。衣はむしろ安くなった。

ほんと、安くなりました。

そして住ばかりはどんどん高くなってしまった・・・
そういえばギターも高くなったよね。

そうですね、5万円で手工品が買えましたからね。

したね。どうも恨みがあるみたいだ(笑)。それとレコードが高かったねえ。

レコードはあの頃で2000円位していたから。

レコードはもっと前の大学の初任給が2万円位のころからだからね。2000円のレコードというのは。

それじゃ1枚2枚買ったら大変じゃないですか。

そうなんだよ。

輸入盤、イギリス盤とか2800円とかしましてね、イギリス盤の方が音がいいってジョンのユージン・オーマンディ指揮のフィラデルフィアのアランフェスと裏が・・・日本版はカップリングが違っていたんだな、イギリス盤の方は裏が、ある貴紳のための幻想曲、ロドリゴ・ロドリゴで・・・やっぱり違うとか云いながら聴いていた記憶があるのですけど。ジョンがフレタ一世かなにかの、写真が松のフレタで。

ジョン、メンヒ持っていたといわれていますけど?

それはもっと前。50年代じないかな、

50年代、正に「ま」さんのメンヒの時代。

家にある少年ジョンの写真はなんだっけかな?

ジョンはできたてのメンヒを使っていたという事ですか?

多分ね、でもブリームも使っていたんですよね。

ああ、ブリームも使っていた時期あるね。

僕が初めてメンヒを見せてもらった時に、

あのころはブリームが使ったって云っていたね。70年代前半。

メンヒじゃなくて、ムンフとか、ミュンヒとか。

読み方知らなかったからね。Iさんが画家のエドワルド・ムンクが好きでそれからとってムンクって云っていた。

50年代でああいう楽器、かなり珍しいですよね。

そうかな・・・というよりも50年代のは70年代のメンヒとは違う楽器だね。ずっとハードだよ、70年代のメンヒはずごくマイルドだからね。

そうですね、ずっと太い感じがします。70年代のは音がポーンと、すりガラスみたいなイメージがあるのですが、透明感があって、とはちょっと違う感じが。

いや、透明感はあったよ、透明感があって抵抗のない音、軽い感じ。50年代はもっとずっしりしている・・・なんだか受け取り方が違っているみたいだね。

何年か前に富山にいきましたね、50年代のメンヒは。50年代かなり古かったですね。

まだミュンヘンのやつだ。

うん、ミュンヘン、50年代。メンヒは指板がラウンドしててね、あの時期としては珍しい。ラウンドはラミレスが始めたのかと思っていたけど違ったんだね。ネックの調整に松井さんに持っていったら、松井さんがえらく興味を示して、この楽器は面白いって。こんなに華奢で軽くてローズでこんな音が出るって。手放すんだったら一声かけて下さいって(笑)

あのメンヒはね〜

あんなに軽くてどうしてパワーがある? ハウザーをもうちょっと細くした感じかな。ハウザーと間違いなく付き合いがあったはずだね。

ミュンヘンだし。

知らないはずがない。年代は二世より少し上っていう感じかな。息子が有望なギタリストだった。亡くなってしまったけど。カナダに移り住んだ時は、どちらかと云えば普及品を作ったんだね。量産をしていた、弟子がいてね。

パンフューゼン?

パンフューゼン、もう少し後かな。ラリベとか、ラリベは今フォークギターとか、アコースティックの方へ進んでいますね。

前、テレビでアコースティック・ギターを作っている若い人を紹介していたけどね。アコースティック・ギターの本場カナダに修行に行ったと言っていた。その口ではないかな、ラリベとか。

ラリベはいまやアコースティック・ギター界の大御所ですよ。ただし、材料を買う資金がいるので入門志願して行っても、財力があるか確認されるとの事らしいですよ。現実には。

材料買ってきたっていきなり沢山作れないからね。
そういえば上田の佐久間さんはやっぱり年6本ペース?

そうですね。

あの人の場合は材料のストックも少ないのだろうけど、なにしろ手間のかかる作り方しているから。

といいますと?

あれね、ロマニロスと同じ手法なのだと思うけど、表面の力木がみんなアーチ状していてね、両端と真ん中しか止まっていない。

止まってない?

浮いてるの、トンネルなの。眼鏡橋の形、両端とまん中だけが表面に当たっているの。

眼鏡?

表面板側にアーチがあって。Wの形、その上側の3点が表面板に付いている。で、サウンドホールから覗いて両側が高く、真ん中が低く見える。ロマニロスもそう見える。鏡入れて見るとアーチになっているのがわかる。

ブーシェのアンダーハーモニックバーと似てますね。丁寧にそうしているのですね。

それも同じ、

扇型力木を通したらアンダーハーモニックバーになるわけで。

実際に通しているはずだよ。表面の上側途中位まで来ているのでは。あとネックがスペイン式、ヘッドはV継ぎでしょ。塗りはセラック。手間かかるよね。
次にできて来るのはいつ?

そうですね、今度はゴールデンウィークあたり。問い合わせが来ています、ハカランダ・モデルはないのかというのも。ないなら登場を待ちます、と。

ハカランダでなくてもいいような気もするけど。

実はすでにハカランダ1本作っているのですよ、完成品を見ました。センスがあるなと思ったのは、大概の人はいきなりハカランダではだめなんですけど、よかったのです。材料を提供されて作ったのですが。彼もハカランダで作ってはみたいとは思っているのです。ですからこちらから提供するのもありかな、と思うのですが・・どうですかね。

・・・(しばし考えて)今の時代はさ、楽器というものが普通の人がポイと買うには高くなっている、まあ初心者が始める分には入門用でいいのだろうけど、楽器らしい物を求めて来ると・・・50〜100万円が必要になってくるよね、うっかりすると200とかさ。そうなってくると一層楽器を販売する人の立場が重要度を増す訳だね。そこで画廊のおやじが画家を育てる、骨董屋のおやじが陶芸家を育てる、編集者が作家を育てる、そのたぐいで楽器屋の存在意義が大きくなってくると思うんだ。別に今になって始まったわけではなく、昔から良心的な販売店は製作家を発掘して育ててきた訳なんだけど、育てるのに自分の意見、ギタリストの意見をフィードバックして、もうちょっとそこを太くとか細くとか、色々な注文を出す、そこまではいいとして、・・・もっと突っ込んで、楽器商がこの材料でこうやって作れとか云うのは、どうなんだろうか?

僕はそれは反対です。

うん、そこまで云うのはね、低音がこうだといい、と云ってそれをどうするか考えるのは製作側の考える事であって、

では、もっと抽象的な話で。

それを、例えば低音をもっと重くと云われた製作家が複数いて、全く違うアプローチで同じ様な低音を出してくるかも知れないし、そこが面白い所だよね。だからといって、この材料がいいから使ってみたら、みたいな、そこまで云うのはどうかと。

僕はそんな偉そうな事は考えていないのですが、単純に材をね、それはいいかどうかは分からないけれど。

ハカランダを入手するルートがないのだったら、紹介するとか、それは考えられるでしょう。

紹介はできるけど・・・

選ぶのは製作家。

買うか買わないかではなくて、買えるかどうかという・・・だって買えるのなら僕はそんな事は云わない、

では、ここは間に入って仕入れて卸す形をとって、支払いは出来高でいいよという、そこまでスポンサーになれるかどうか。

ああ、でもそれ位はできるのではないですか。少しずつなら。

1セットと決めてそれでいいの?

そこなんですよね、本来であれば持っている中から選んでマッチングして作るというのが本来の製作方法で。

10セットあって、これとこれならと乾燥させてみて、改めてこれとこれならと。そういう物ではないかと思うのだけれど。

僕の持っている楽器(かのベレサール・ガルシア)はそういうポリシーで作られていないのです。

マッチングがとれていない?

一部の材料が提供された物だから、

横・裏はね。表面は違うでしょう。

表面はまさにあれは、ただ彼の中では・・・その板に合う表面板を選んだのだと思いますけどね。

でも、あのベレサールは別に悪いバランスじゃないよ。

悪くないどころか・・・

大変よくできている。

という事は、そういう風に表を選んでもらえたらいいのかな。
で、佐久間さんのハカランダの作品を見た時に、作った事がないのに、よくこんなに作れたな、という印象を持ちました。

重さはどうだった?

重さは軽かったです。ハカランダだから少し重いと感じました。それは自分の意識の中にハカランダだからという物があったと思いますが。でも相対的に見ては軽いと思いました。

ハカランダは側板がゆがんでくるのが多いんだよね。かなりの銘器でもあるんだよ、アルカンヘルとかサントスでも。意外にゆがんでこないのが、アグアド。曲げ方を慎重に時間かけているのかどうか、焦げた跡みたいのがあるんだけれど。

アグアドの方がちょっと重量ありますよね、ベルサールとか、

いや、アグアドの方が差がある。

個体差がある?

うん、うんと軽いのもあるし重いのもある。

70年代の?

でも、それはロペス作だったかも知れない、ロペスの方がちょっと重い。アグアドは結構重さのばらつきがあるよ。軽くなると音も軽くなる。

60年代後半に多かった様な気が。66年・・・

そうか・・・アグアドも重くない、軽くないっていうのがいい。フレタは重くてもいいかも知れない。大体1700グラム位あるのではないかな。

ずしっと詰まった感じがありますね。凝縮して質量があるような感じが。

部品が多そうな気がします。

 

  

 

ここでまた楽器を手に取る。アルカンヘル2本を弾き比べ、

 

  

この間「ま」さんと話した時、昔アルカンヘルはもっと軽かったよな、というお話ししましたよね。

そうそう、アルカンヘルは軽かったし、音だって柔らかかったよね。

今はカチンコチンで、

カチンコチンに、ガチガチの金属的な音になったのは90年代頃からではないかと思うのだけど。ここにあるふたつはそうでもない。特に右側の方(2006年)が木質の音で柔らかく鳴る。

それはマイルドになったと云ってもふにゃふにゃになったとか云うのではないので、しなやかになったと・・・

そういえばいいか。だからこの2本、どちらもいいのだけれどねえ、なんかもう一息しゃっきりしないような気がするんだなあ・・・バルベロの方がすっきりとした音をしている様な気がする。

同じ年なんですよ、右から2番目、2003年・・・でもそのほかのガチンとしたアルカンヘルを見ていると、同じ人が作ったのかなという位。

まうん、違うね。・・・でもねえ、アルカンヘルの一番いい所を引き出して一番いい状態の演奏をしたとしてら、アグアドの一番いいものの方がいいような気かする。こんなこといっちゃいけないかな。

ああいうテイストはないですね。

いいサントスを使っているギタリストがいましてね、彼が楽器好きで、いつも買う時に僕に相談するの、当店では買わないのだけど・・・(笑)60年代のアルカンヘルを気に入って、彼が使っているのは20年代のサントスなのですが、マイルドサントス。
それをもう少し粗野にした感じのサントスみたいなアルカンヘルだった。だから同じ傾向の2本はいらないなという事で結局買わなかったのですが・・・
とにかく楽器好きでフレタなんか10本くらい替えた。ついに出会えたフレタ、これはよかった。イエペスが使っていたフレタ・・・聴いた時に、Tさん楽器終わったね、と思わず云ってしまいました。ここまで来るのに30年かけた・・・

イエペスというと・・・いつか見た50年代、じゃ後年とは違うタイプだな。

58年、

じゃ、もうフレタになっているか。

なっています。あの顔です、割れもあるのですが。

イエペスが使っていたって?

全部、手紙から何から全部ある。

19フレットが通っていた?

う〜ん、そういう細部は僕は甘くて・・・とにかく音に気がいってしまって、ずーっと弾いてほーっと思っていて。

ネックは?

細めでしたね、ただ弦長660だったな。

ほう660・・・あっ、でもね、トーレスでも660ってあるんだよ。あの本見ると何本かあるよね。30年代位のサントスでも660あるし。結構いろいろ試している人はいるのだよ。注文っていうのもあるのかな。イエペスで有名なのは最初のアランフェス吹き込んだ時はね、バルベロ1世を使っていたはずだよ。そのあと60年代途中から10弦持ち出す前のジャケットなんかで持っているのはあれはみんなラミレス3世、だからバルベロとラミレスしか我々は知らなかった訳さ。そしたら急にイエペスが使っていたフレタなんていうものが広告に出てきたから、なんだ?って云って・・・数年前に広告が出てきたんだよね。

彼が手に入れたのはそんなに前ではないですよ。ここ1年位。

じゃ、あの宣伝からまた転々としたのかな?

だと思いますね。彼はフレタ1世だけで5本目か・・・

さっきは10本って言わなかった?

いやいや、今度は1世だけ、最初のは70年代のもの、松で始まって・・・

同じのに戻った事はないの?

ないですね、全部見てますけど。

二転三転するとさ、今回のは前回よりいいと思うかも知れないけど、前々回と比べたらどうなのだろうとか、そういう風には思わないのかな? みんな少しずつ上がったとして買っているのかな? 一長一短があると思うのだけど。

彼は時々、あの時のあれがよかったかも知れないとか、よく云いますね。サントスの前はブーシェだったのです、これで打ち止めかなっと思ったほど、良いブーシェでした。
「ま」さんがブーシェを手に入れた頃とほぼ同時期ですね。1年位後かな、まさんは93年でしょ、たしか

うん・・・93年。

それから3年位して、サントスに換えて。エンブレムの入った。
サントスはヘッドにエンブレム入ったのはあれしかないです。

ヘッドにエンブレム・・・見たことがない。

エンブレムが入っているので有名なのは、トーレスのがありますけどね。

サントスでエンブレムのあるのはそれだけなのですか?

そう、写真でも何でもそれしか見たことないですね。

トーレスは銅だけど、牛骨かなんか埋め込んだのあるよね、ラミレスでも。盾のような形。

 

  

雑誌からサントスとトーレスのエンブレム発見

 

  

これは後で入れたんではないかな?

サントスが入れたのではない様な気もしますが、僕の推理ですが。

トーレスにしてもそうなんじゃない?

見た感じ、いかにも後付っていう感じが。最初から想定して作るときから入れた感じはしないのです。

でもそれも昔のことなので、いかにもその時につけられた様な印象がある。

そう、それ自体ももう歴史になってしまっている。

サントスはヘッドが長いのと短いのがある、

ああ、ありますね。

このエンブレム入りは長い。僕のも結構長い。ここにある29年製は短いね。

これは正にマニエル・ラミレスと一緒の形です。

ドミンゴ・エステーソも同じなんだね。それからバルベロ1世、アルカンヘルもそうで・・・今こうして見ると、バルベロ・イーホの方がアルカンヘルよりもヘッドが短いね。だから糸巻きが少し出ている。

あの糸巻きも、フステロもこんな事してくれるんだって、へぇ〜っと思いました。
(プレートの前後に遊びがなく長方形にスパッと切れている)

日本で見たことない、っていうフステロもあるらしいね。

少なくともロペスなんかも特注ですよね。

特注か、あれもフステロなんだね。黒のプレートで切り込みに真鍮が出ている、あれ渋くていいよね。

いいですね。

黒い方が安いのかと思ったら、あちらの方が高いんだね。

そういえば糸巻き話で、シュレンパーがついに、シュレンパーは埋め込みだったのご存じですよね、あれがなくなって・・・困ったなと思ったんですよ、さすがシュレンパー、センスがいい、

   
 

(新着のシュレンパーを出す)

   

ああ! これ周りに他の木を当ててあるんだよね、

これがなかなか・・・

ヘッド全体が一体の様に見えるね。ここが埋まっているように見える。さすがだな、と思いましたよ。シンブルでいいです。前に使っていた糸巻きなくなって困ったなと、もうここで埋め込み止めたかと思ったんです。

でも正確にはこれは埋め込みではないですね、くり抜いた板を貼って・・・っていう気がしますね。後ろから見たらこの板の、それが多分プレートの厚さが。

アイデアだね。単純にはしないぞ、という。

ヘッドの形はコンデ・エルマノスみたいなんだけど、でもこの雰囲気とこの糸巻が合っているね。

多分、特注だと思うのです。彼はいつも糸巻き特注するから。

これはどこの?

アレッシー、イタリア製です。

アレッシーって仕上げが粗かったような気がするのだけど。

これを見ると、相当注文つけたのでしょうね。面白いのはそのブリッジが、

そう、こういうの好きなんだよね。

アグアドのナットと同じ構造。これは初めてなんですよ。
(黒檀の薄板の縁に象牙または牛骨を貼ってある)

厚さ1ミリ位しかない。

前、埋め込みだった様な気がするのですが。

前はギルバートと一緒で上から入れる。

ワイスガーバーにはそういうのあるよ。

ワイスガーバーありますよね。

これはサドルが後ろに傾いているね。

垂直に入れると必ず前に倒れますよね、だから少し、こういう具合に後ろ向きに入れてあります。こういう角度で。

ああ、なるほど

念のために高音側の方も・・・

あれ、低音の方が傾いている様に見える

あっ、本当だ。

そんな馬鹿な! 三次元にカーブ描かなきゃいけないじゃない、外すの大変だよ。

低音の方がテンションがかかるとか・・・

確かにそうだけれどね、

どうなってるんだ、これ?

あ、これも目の錯覚で、ここの切り方、黒檀のところのこの切り方、乗せ方とかで見えるのではないですか。こっちは下がり気味になってますが、こっちは違うでしょう?黒檀だ、黒檀の切り方が違うから、そういう風に目の錯覚が起こるのですね。

いや〜、こっち(低音側)の方が傾いている様に見えるな・・・

上ですよ、下じゃなくて。

なんかこちらの方がカーブが付いている様に・・・

でもこうやるにしても、すごく大変な事じゃないですか?これ抜けないのじゃないですか?

そんな事はないのでは? ・・・そうですよね、ねじれが・・・

そんな大変な事やるかな?

横から見ると駒はまっすぐではないですよ。カーブしている。

うん、反っている様に見える

見えますよね、非常に色々な事をしているのではないでしょうか?しかも手で切った様に・・・機械で切ったのではないような

やっぱり弦の角度をつけるために、こちら(高音側)は多く削っているから完全に非対象の不思議な感じにしていますね。

いゃ〜、面白いな〜シュレンパー! 奥様は何人目だったっけ、子供が20人?!

ええぇぇぇ!

なんかすごいいるみたいですよ。

去年今井さんがお祝いに行ったのですが、ドイツは50才で日本で云う還暦みたいに盛大なお祝いをするのです、そしたら子供がぞろぞろと・・・

 

  

 

つづく

 

 

・・・つづく・・・
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